後立山(長野/富山) 唐松岳(2695.9m) 2022年8月10日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 2:05 駐車場−−2:26 黒菱平−−2:55 八方池山荘−−4:43 丸山ケルン−−5:25 2650m峰−−5:42 唐松岳 6:03−−6:18 2650m峰−−6:50 丸山ケルン−−8:30 八方池山荘−−8:46 黒菱平−−8:56 駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県黒部市
年月日2022年8月10日 日帰り
天候曇 山頂は南西の強風
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場黒菱林道終点に駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無ほぼ無し
危険個所の有無痩せ尾根あり。転落注意
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント会社の夏季休業(正確には有給休暇強制取得期間)中の3箇所目の山。八方尾根は花の種類の多さは白馬岳並みだが、花のピークを過ぎたこの時期でも多品種の花を見ることができて、下山時は写真撮影で時間がかかってしまうほど。東北北部〜日本海にかけて前線が停滞して湿った南風が入る気圧配置で天気は期待していなかったが、山頂はギリギリ雲の下だった。登山者だけでなく八方池までの観光客も多かった


2650m峰から見た五竜岳〜唐松岳〜天狗ノ頭。唐松岳のみかろうじて雲の下。山頂は南西の強風


林道終点の駐車場を出発 黒菱平(リフト駅)。湿原の散策路に入る
八方池山荘 往路/復路とも稜線の登山道ではなく南斜面の木道を通った
息ケルン 先人の足跡
八方ケルン 八方池南側の第三ケルン
一時的に樹林帯に入る 午前4時で僅かに明るくなり始める
扇雪渓 午前4時半過ぎにライト不要な明るさに
丸山ケルン 丸山ケルンから見た山頂方向
白馬岳方面は雲がかかる 午前5時に雲海から日の出。でも雲がかかってはっきりしない
唐松山荘裏のピークで日の出を待つ人達 五竜岳は山頂に雲がかかるかギリギリ
標高2580mで稜線の道へ
唐松山荘裏の2650m峰から見た展望。唐松岳のみが雲の下
唐松山荘へ続くこの斜面がコマクサの群落 コマクサ
山頂へ向かう。風が強い ハイマツの影にゴゼンタチバナ
タカネヨモギ 唐松岳山頂
唐松岳山頂から見た西側の展望(クリックで拡大)
唐松岳山頂から見た東側の展望(クリックで拡大)
露に濡れたイワギキョウ 下山開始。帰りは花の写真を撮影しながらで時間がかかった
ミヤマアキノキリンソウ。多数見られた コケモモの実。まだ熟していない
開いていないがミヤマコウゾリナ ヤマハハコ
ドライフラワー化したタカネヤハズハハコ テント場。ここを利用したのは20年以上前かな
ミヤマダイコンソウは花はおしまい コゴメグサだは細かな種類は不明
天候は悪化方向らしく時々ガスがかかる トウヤクリンドウ
標高2600m付近 ミヤマホツツジ
オヤマリンドウ
チングルマ
チングルマのお花畑 コイワカガミ
開いていないがおそらくミヤマリンドウ ニガナ
ウサギギク 葉っぱからしてシラネニンジンかな
コバイケイソウ
ユキノシタ科の何か。たぶん**ショウマ エゾシオガマ
コゴメグサ 葉っぱからしてハクサンボウフウかな
丸山ケルン やっと開いているミヤマリンドウを発見
アオノツガザクラ ムシトリスミレ。その名の通り食虫植物
ヒメクワガタっぽい
ミツバオウレン ナナカマド
ミヤマキンバイ 扇雪渓
オトギリソウだが細かな種類は不明 スミレだが細かな種類は不明
ミヤマキンポウゲ モミジカラマツ
シロバナニガナ クルマユリ
ハクサンタイゲキ。花だとは思わなかった ヨツバシオガマ
普通のウツボグサではなくタテヤマウツボグサっぽい マルバダケブキかなぁ
ハクサンフウロ お花畑
シモツケソウ イワオウギっぽい
ハッポウタカネセンブリ。初めて見る花 トリカブト
ミヤマアズマギク ミヤマミミナグサかクモマミミナグサ
イブキジャコウソウ イワシモツケ。シモツケソウとは関係なさそう
白い花のハクサンシャジン 青い花のハクサンシャジン
カライトソウ ミネウスユキソウかなぁ。それともハッポウウスユキソウか?
ウメバチソウ これだけ花の種類が多いのは珍しい
白い花のハクサンシャジン群落 青い花のハクサンシャジン群落
チシマゼキショウらしい。初めて見る花 標高2200m付近
キバナノカワラマツバ キンコウカ
お花畑。花の種類が多い
ハッポウワレモコウ ハクサンオミナエシ
タカネマツムシソウ ミヤマダイモンジソウ
ゴマナ セリ科の何か
ミヤマウイキョウ 第三ケルン
八方池
ママコナ 唐松岳方向を振り返る
タカネナデシコ 八方ケルン
帰りも巻き道に入る タテヤマリンドウ
ハクサンチドリ ユキワリソウ。ハクサンコザクラよりずっと小さい
ニッコウキスゲ イワイチョウ
観光客がいっぱい コゴメグサ
オオバギボウシ クガイソウ
オトギリソウ 白のヤマホタルブクロは初めて見た
一時的にガスに突入 ハッポウタカネセンブリ
八方池山荘 ホツツジ。おしべがまっすぐ
黒菱平を見下ろす キンコウカの群落
キンコウカ ? おそらくツツジ科の何か
黒菱平の湿原にもハクサンシャジンあり 黒菱平でリフトを乗り換える観光客
最後は急坂の林道歩き ヨツバヒヨドリ
ヨツバヒヨドリ、セリ科の花のお花畑 林道の両側にも花が多数あり
キオン ノコンギクだと思われる
駐車場は満車ではないがかなり詰まっている ベット同伴の入山はダメとのこと


 お盆休み期間中の第三弾はどこにするか。第一弾で針ノ木岳、第二弾で蓮華温泉発白馬岳をやったが、さすがに一日毎でこの規模の山では疲労が溜まってくるので次は軽い山にしたいと考えた。そこで最近登っていない唐松岳にすることに。ここは黒菱林道終点まで車で上がれば標高1500mであり山頂までの標高差は約1200m、北アルプスの中では最も低い。リフトを使えば更に標高1830mまで歩かず済むので労力が軽減されるが、リフト営業時刻まで待つ必要があり、大気の状態が不安定な状況が続く中では出発を大幅に遅らせるのはリスクがある。いつものように夜中に登り始めて山頂で日の出を見て即下山がいいだろう。

 黒菱林道に入るのは久しぶり。記憶では昨年は登っていないはず。林道が通行可能か心配なのでネットで調べた結果、問題なく通行できることを確認。近年は集中豪雨で林道が崩れる可能性があるので要注意。久しぶりに猿倉ではなく八方尾根を上がる黒菱林道に入り、牧場内をウネウネと上がって林道終点の駐車場へ。車が20台以上駐車していて唐松山荘の宿泊者だろう。夜間に出入りする車に安眠を邪魔されぬよう、空いている奥の駐車場へ車を入れて酒を飲んで寝た。さすがにこの標高は涼しくて車の中でも快適に寝られた。

 夜中1時過ぎに起床。朝飯を食ってライトを点灯して出発。まだ上がってくる車がいて車内灯を点けて仮眠準備中だった。牧場内の砂利道を登るが大きな凸凹で登山道より歩きにくいが、舗装に変わると無茶苦茶急傾斜になり運動量が上がって暑さを感じるほどになり、扇を取り出して仰ぎながら登った。

 黒菱平のリフト乗り換えポイントでやや右手に登山道の入口がある。最初にここに来た時にはこの入口が分からなくて右往左往した記憶がある。乾燥化が進んだ湿地帯の中の木道は笹や草がはみ出して足元を濡らすのだが、以前よりはマシになっていて一度整備したようだ。ただし完璧な刈払いではない。これも仕方がないことで、ほぼ100%に近い人が八方池山荘までリフトで上がるため、この登山道をわざわざ歩く人はほとんどいない。よって整備をする理由が薄い。

 湿原を抜けて斜面をジグザグに上がってリフト駅に到着すると道が良好に。まだ真っ暗であり八方池山荘の窓の明かりが漏れるだけ、だと思ったら前方の離れた場所にライトの光を発見。私より先行して夜間登山をしていた人がいるとは思わなかった。結構な距離があり時間差は30分以上ありそうだ。

 八方池山荘からルートが分岐する。南斜面を巻く木道ルートと尾根直上を歩くルートであるが、往路は巻道を進むことに。こちらの方が花が少ないだろうと予想して暗い時間帯に通過してもいいだろうとの判断だったが、歩いてみると花が多いこと! 毎回稜線上を歩いて八方尾根は花が多いことは知っていたが、巻道コースの方が明らかに花の数、種類とも多かった。帰りもこちらのコースを歩くことに決定。おそらく稜線上に見られる花はここでも見られるだろうし、もし見られないとしても途中で稜線コースに合流するので、その先で見られる花々と同じであろう。

 無人の木道を進んで尾根コースに合流。この先は巨大ケルンが登場する。最初は息ケルン、次が八方ケルン、八方池南側が第三ケルンだ。まだ周囲は真っ暗なので八方池の水面は見えない。

 八方池を過ぎてすぐ先で森林限界のように立木皆無だった植生が、いきなり背の高いダケカンバの樹林帯に突入する。日が当たる日中には貴重な日影となる場所だ。すぐに樹林帯を抜けて草原の斜面をジグザグに登るが、ここは冬ルート分岐であり雪が残る時期はここから尾根を直登する。今の時期は南斜面の雪がすっかり消えているので尾根左手を巻く夏道(登山道)を進む。ここで先行していた明かりの主2人を追い越した。

 しばし南斜面をトラバースするように道が付いているが、ここでも花がたくさん見られた。まだ真っ暗な時間帯なので写真撮影は帰りに行うことにして往路は素通り。扇雪渓の横を通過する頃にはようやく周囲が明るくなり始めたが、樹林帯の中ではまだライトが必要な状態であった。この付近では遅くまで雪が残るようで、まだミヤマキンポウゲが咲いていた。

 南斜面のジグザグ道を終えて再び稜線上に登山道が移ると丸山ケルンのある2430m肩。この頃には周囲が明るくなり樹林帯を抜けたこともありライトが不要になった。上空、東の空とも雲が多く、東の水平線付近の僅かな隙間だけ空が見えていた。右手の天狗ノ頭以北の稜線はガスがかかっており、左手の五竜岳は辛うじて山頂は雲の下だがギリギリの高さ。ということはもっと標高が低い唐松岳山頂はガスがかかっていない可能性が高いが、この天候だといつガスってもおかしくない。まあ、今回は展望はどうでも良くて高山植物の写真さえ撮影できればいいけど。そのためにもガスはいいが雨は避けて欲しい。

 稜線の登山道は時々風が強まり寒さを感じるようになったので防寒装備を装着。毛糸の帽子、軍手、ウィンドブレーカで、稜線に出る前にもっと装備を追加する予定である。昨日の予想天気図からして風向きは南西のはずであり、唐松山荘裏手の2650m峰を越えた先が本格的な強風だろう。行動に支障がない程度ならいいのだが。

 標高2580m付近で稜線を南に巻く登山道から稜線への旧冬道へ入る。これは数年前にこの先の夏道で崩壊が発生し、冬道を夏道にしたためだ。唐松岳は真冬でも入山者がそれなりにいるので冬道もしっかりしていたし、夏道化するため手すりや階段等の整備もしたので非常に歩きやすい。ただし尾根が痩せているので慣れない人だと高度感で怖いと思うかもしれない。巻道から稜線に上がるポイントからは2650m峰で日の出を待つ唐松山荘宿泊者の姿が見られた。この雲の多さで日の出が見られるかと思ったら、短時間ながら水平線付近の雲の隙間から太陽が顔を出して斜面をモルゲンロートに染め上げた。ただし数分で太陽は雲に隠れてしまったが。

 唐松山荘裏の2650m峰に立つと予想通り南西の冷たい強風が吹き付けるが、幸いにして予想よりは弱く行動に支障がない程度であった。ただし体感的には寒い! おそらく気温は高めで+10℃くらいと思われ風が無ければ快適に近い気温だろうが、風速は10mくらいありそうで体感温度で10℃下がるので体感温度は0℃前後だろう。

 2650m峰を下って縦走路に合流する付近はコマクサの群落ありだが、もう花のピークは過ぎて萎れかけていた。

 強風の中を県境稜線を登り返して久々の唐松岳山頂に到着。明るいのは東の空だけで、他は厚い雲に覆われて暗かった。立山、剱岳の稜線は池平山以北は見えており、後立山北部は天狗ノ頭が見えるかどうかであり、鑓ヶ岳等は雲の中。五竜岳山頂は雲がかかったり顔を出したりであり、針ノ木岳や槍穂方面は雲の中で見えなかった。東の空は明るいとはいえ雲海の高さが高く、志賀高原の山々はもちろん戸隠、妙高、火打も全く見えなかった。今日の気圧配置ではそれも当然で、南西から湿った風が吹き込んでいるので雲が発生しやすく、唐松岳山頂が雲の下で展望が開けているだけでも良しとすべきだろう。

 この時刻はまだ八方尾根日帰り登山者が到達しない時間帯なので、小屋泊まりの人がバラけて山頂にやってくる程度で人は少なかった。それにこの強風では寒すぎて山頂に長時間滞在するのは相当の我慢が必要であり、私も写真撮影して軽く飯を食って20分程度で下山開始した。

 帰りは花の写真撮影しながらであるが、稜線上は既に秋の花に切り替わりつつあり、イワギキョウやミヤマアキノキリンソウ、トウヤクリンドウ、ミヤマコウゾリナ、コゴメグサ、ミヤマホツツジ、オヤマリンドウ、花は閉じていたがミヤマリンドウなどが中心であった。遅くまで残雪があったらしい場所はチングルマを中心とするお花畑が残っており、コイワカガミ、アオノツガザクラ、ミヤマキンバイ等が咲き残っていた。

 久しぶりに見たのはムシトリスミレ。その名の通りスミレの仲間であるが珍しく食虫植物。八方尾根以外ではまだ見たことがない。タテヤマウツボグサは初めてかもしれないが、そもそもウツボグサとタテヤマウツボグサの判別は難しく、その方法を知らなかったので何でもウツボグサと思っていただけかもしれない。なお、両者の見分け方は葉っぱの根元で、茎から直接葉っぱが出ているのがタテヤマウツボグサで、ウツボグサは短い柄を介して葉っぱが出ているとのこと。これからは葉っぱの根元を良く見よう。

 稜線を離れて南斜面を巻く区間は樹林帯を抜けると花の種類が一気に多くなるが、多すぎて私の知識では全てを判別することはできない。特徴的な花は固有種であるハッポウタカネセンブリ。ごく小さな青い花で花弁の青い斑点が印象的。お仲間でタカネセンブリという花があり東北地方から後立山北部に分布しているそうだが、私は見たことがない。あまりに小さすぎて気付いていないだけかもしれないが。ハッポウタカネセンブリは八方尾根では非常に多く見られる貴重な場所である。

 釣鐘型の花を輪生させているハクサンシャジンがたくさん見られるが、飯縄山で見たツリガネニンジンとは見た目では区別がつかない。ツリガネニンジンの高山種がハクサンシャジンとのことだった。ハクサンシャジンがたくさん見られる場所はお花畑を形成している箇所が多いが、花の種類がやたらと多いのが八方尾根の特徴だ。経験上、通常は数種類程度だと思うがここでは数えるのが面倒なほど。もっと花の知識を蓄えてから登らないともったいない場所である。今回は花の写真を撮影しながら下ったら下りの所要時間は私の通常の時間より1時間も長くかかっていた。それはまだ写真に納めていない花の探索と写真撮影の時間である。

 往路で通った稜線南側を巻く木道は稜線とは違った花が見られ、タテヤマリンドウ、ハクサンチドリ、ニッコウキスゲ、イワイチョウ、オオバギボウシ、クガイソウ、ヤマホタルブクロなど。初めて見たのはユキワリソウで、ハクサンコザクラに似るがサイズがずっと小さい。ネットで調べたら園芸種もあるようで、一般的にはその名の通り雪解けの春の花であるが、八方尾根では雪解けが遅いので夏が開花時期だ。

 木道まで下りると人の数が一気に多くなる。リフトの営業が始まって観光客が上がってくるようになったからであろう。天気は曇りであるが立木が無く日影が得られない八方尾根ではこのくらいがちょうどいい。おかげで下りでも大汗をかくことはなかった。一時的にガスの突入したがすぐにガスの層を抜けた。

 八方池山荘を通過しても相変わらず花が多く、ハクサンシャジンは黒菱平の湿原まで続いた。湿原の中ではなく西斜面ではキンコウカの花。この花も私がいつも登る山では見ることは無く、八方尾根で初めて見た花だ。

 ガスが流れる黒菱平でリフトの人並みと交差して林道歩き。林道両側もまだ樹林は無くお花畑であり、八方尾根の特異性が感じられる。ここまで下ると花の種類は変わり、背の高いセリ科の花とヨツバヒヨドリ、シモツケソウ、キオン、ノコンギクなど。

 見下ろす黒菱林道終点駐車場は満車ではないが7割程度埋まっていた。今日は一般的には山の日の前日の平日であり、私のように会社がお休みなのは一部の会社だけだろう。正確には私の会社は休みではなく有給休暇の強制取得日であるが。駐車場に到着して濡れタオルで体を拭いて車を走らせるが、道幅が狭いのでポツポツと上がってくる車とのすれ違いに神経を使う。夜間ならライトの明かりで遠くからでも対向車の接近が分かるので運転しやすいが、昼間はカーブミラーが無い場所では全く分からない。

 高度を徐々に落とすと気温が上がってくるのが肌で分かる。曇っているのでいつもよりは涼しいとは思うが、それでも八方尾根を降りて白馬の市街地に達すると暑い。長野市内はさらに暑かった。

 

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